古い家を片付けていると古銭が出てくることもあります。そんな時に買取に出してしまう人も少なくありません。一般的に良く見つかるような古銭だと心配する必要はありませんが、中には高値がつくケースもあるでしょう。
そうした時に知っておきたいのが、古銭売却にかかる税金についてです。滅多なことではありませんが、古銭の種類によっては課税の対象になってしまいます。
後から申告していないと税務署に言われても、知らなかったではすみませんので、しっかりと確認しておきましょう。
古銭や金貨の売却にかかる税金は”1点30万円以上~”
古銭や金貨を売却した時にかかる税金は、どの時点で発生するのでしょうか。一般的なサラリーマンの人ですと、給与所得以外に年間20万円以上の収入があると確定申告をしないといけません。
ですが古銭の売却だと幾らの利益が出たのかが判別できないことが多いです。そのため古銭や金貨の売却益にかかる税金は、基準が一般的なものと少し異なっています。
- 1点の売却額が30万円以上のもの
- 複数での売却で30万円以上になっても1点が30万円以内なら課税対象にならない
例えばですが家を整理していて古銭が複数出てきたとしましょう。
この時にまとめて買取に出して、買取額が合計で31万円だったとします。この時に1枚で30万円を超える査定額がついた古銭がなければ、課税対象ではないとなるのです。
遺品の売却時の課税は『特別控除』がある
古銭の売却益にかかる税金ですが、その出処が遺品である場合は特別控除という枠があります。特別控除というのは税金を計算する時に、この控除の枠内であれば非課税になるというものです。
- 遺品売却の特別控除額は50万円
- 1点で50万円ではなく、遺品整理をした時のすべての合計額が対象
例えば祖父や祖母が亡くなった時の遺品整理をしたと考えます。この時に遺品整理で幾つかのものが売却できたとしましょう。この時にまず考えたいのが、1点につき30万円以上のものが課税対象になる点です。
この課税対象になるものは売却額から30万円を引いて、残った額に課税されると考えてください。この課税対象額が合計で50万円以内なら、特別控除によって非課税になるということです。
《シミュレーション》特別控除の具体的な計算例
言葉で説明をしましたが、それだけでは分かりにくいはずです。そこで実例を出して特別控除の計算を行ってみます。
- 高額で売れた古銭1点が60万円
- 金製指輪が1点で60万円
といった内容だったとします。この時にどちらも1点で30万円を超えていますので、30万円までは非課税とすることができ、差額分が課税対象となります。
- 60万円から30万円を引いて30万円
- 60万円から30万円を引いて30万円
ここで特別控除の計算をします。
- 遺品整理の売却で得た課税対象は30万円と30万円の合計で60万円
- 60万円に対して特別控除の50万円が適用される
- 60万円から50万円を引いた残りの10万円が課税対象
仮に古銭の売却額が50万円であったとすると、合計額が50万円となるため特別控除の枠内に収まります。この場合、課税対象は0円となるので、税金がかかりません。
古銭の譲渡額について~総合課税の計算方法~
では次に古銭の譲渡に伴う税金の計算方法を考えてみます。先述したように遺品整理などで古銭を売却した場合は、1点が30万円以上の売却額なら課税の対象となるのです。この時に譲渡所得の計算を行わないといけません。
- 譲渡所得収入金額から取得費用と譲渡費用を足したものを引き、さらに特別控除分を差し引いたものが実際の所得額となる
譲渡所得収入金額というのは、実際の売却額のことを指します。取得費用は対象となった古銭を購入した金額です。
購入した価格が分からない時は、売却額の5%として計算されると考えてください。譲渡費用とは売却するのにかかったお金のことですが、通常は0円として計算します。
古銭の譲渡所得の計算方法
古銭の譲渡所得について解説してみましたが、やはり実際に数字を入れてみないと分かりにくいでしょう。そこで具体例を出してみます。
- 古銭が100万円で売れたとする
- 取得費用に50万円かかっていた
この場合の計算式は以下の通りです。
- 100万円-(50万円+0円)-50万円
譲渡所得収入金額は売却額なので100万円、取得費用が50万円で譲渡費用は0円として計算しています。この場合だと合計で0円となるのです。この場合は課税対象となる金額が0円になると考えてください。
仮に売却額が150万円だとして他の条件が同じだとすると、最終的な譲渡所得額が50万円になります。この場合は課税対象となるのは50万円であるということです。
譲渡所得には”2パターン”ある
譲渡所得についてもう少し詳しく見ておきます。実は譲渡所得の計算式は、以下の2通りで実は控除額が変わってくるのです。
- 長期譲渡所得
- 短期譲渡所得
長期譲渡所得とは課税対象となる古銭などを購入してから、5年以上経過している場合を指します。反対に短期譲渡所得だと5年未満になるのです。この長期か短期かによって、特別控除の枠が違ってきます。
- 長期譲渡所得の場合は特別控除が半分の25万円になる
- 短期譲渡所得だと特別控除の枠はそのまま
前段の例をとって解説すると特別控除が50万円で計算していますので、これは短期譲渡所得の計算式になります。
短期譲渡所得だと課税額は0円となるのですが、長期譲渡所得だと特別控除が半額の25万円です。つまり課税額は25万円という計算になります。
古銭を売却して確定申告が”必要な人”と”不必要な人”
最後に古銭を売却した時に確定申告をして税金の支払いが必要になる人と、そうでない人の違いについて見ていきます。この条件をしっかりと押さえておけば、確定申告をするべきかどうか悩む必要はありません。
【確定申告:必要】古銭を売却した後に確定申告が必要な人
では最初に古銭の売却後に確定申告をしないといけない人から解説します。
- 1点30万円を超える古銭を売却した
基本的に古銭を趣味にしている人でも、常時売り買いをしているという人は少ないでしょう。こうした常時売り買いをしていると業としてみなされるので、また違う税金のかかり方となってくるので注意しましょう。
- 不要になったから売却した
- コレクションの整理をしたい
- 遺品などで見つかった
などのケースでは、1点が30万円を超えるようなケースでのみ、確定申告が必要となってきます。その後譲渡所得の計算を行って、課税対象金がマイナスになっているのなら非課税です。
プラスなら税金を支払わないといけません。どちらにしても確定申告をしておく方が良いでしょう。
【確定申告:不必要】古銭を売却した後に確定申告が不要な人
では逆に古銭を売却した後で、確定申告をしなくていい人を確認します。
- 1点で30万円を超える古銭がなかった
この条件を満たしていれば、課税対象にはなりません。そのため確定申告をする必要もないのです。1点で30万円を超えても課税対象であっても、控除などを計算すると非課税になる場合があります。
この場合は確定申告をしておく方が無難です。不安な場合は地域の税務署に問い合わせをしてみましょう。ただ1つ注意したいのは業と見なされるようなケースです。
先程お伝えしたように、日常的に古銭の売買を行っているようだと業と見なされてしまいます。この場合は所得となってしまうので、税金の申告方法が違ってくるのです。
まとめ
古銭売却にかかる税金についてのまとめでした。古銭の売却をする時にも税金については知っておかないといけません。
課税対象なのに申告をしなければ、脱税となってしまい、最悪は逮捕される可能性もあるためです。そこで知っておきたいのが、1点30万円以上という基準です。
この基準を超えれば税金がかかってしまいます。反対に30万円未満なら課税対象ではありません。そのため幾ら取引をしたとしても非課税になるので覚えておいてください。